神経が死んでしまったまま放置してしまったら・・・(考察編)
池袋診療所の小勝です。
今回は神経が死んでしまった歯は、将来どうなってしまうのか・・・というお話しです。
神経が死んでしまう理由は、大きく分けて以下のが2種類あります。
①一つは、むし歯の菌が歯の神経に達してしまった場合。この場合、痛みを伴う事が多いため、そのまま放置してしまうというケースはあまり見かけることはありません。(C3の項を参照)
②もう一つが、外傷(ぶつける等で、歯に衝撃が加わる事)によって、その衝撃から神経が死んでしまった場合。その場合、痛みを伴わない事が多く、御本人も気づかずにそのまま放置されているケースがあります。歯の色が少しづつ赤黒くなってきた等で、ご来院されて、はじめて気づく方が多いようです。
以下は、ある患者さんの前歯の、レントゲン画像です。
子供の頃に、遊んでいる時に前歯を2本ぶつけたため、歯科医院受診するも、治療したくなかったため、そのままに・・・その後、色が黒くなっていく事を自覚するも、40年の長期間を放置していたとの事です。
神経が壊死したまま放置すると、神経の部屋で細菌が増殖し続けます。
するとある時、神経の部屋が細菌でいっぱいになり、これ以上増えられない状態になります。
すると、神経の部屋の出口(つまり歯の根っこの先端)から、細菌が飛び出し骨を溶かしながら、どんどん増殖し続けます。最終的には、歯を支える骨はもちろんの事、鼻や神経などにも障害を及ぼす事があります。
右の写真の、赤線で囲った部分が細菌によって、骨が溶けてしまった部分です。
お口の中では、歯を支えている骨がほとんど無いため、歯自体がグラグラと揺れ、外側の歯茎からは、膿が出続けるといった症状が認められます。
ただ、お痛みに関しては、ほとんど無いために、今まで治療の必要性を感じなかったとの事でした。
こうなってしまうと、歯を抜かずに治療することは、大変困難になってしまいます。
歯を、残すためにも、早期に適切に処置する事が必要になります。
自覚症状をお持ちの方は、是非、歯科医院を受診される事を、オススメします。
投稿日:2010年11月16日 カテゴリー:症例紹介