親知らずは抜くべきでしょうか?
弘進会 宮田歯科池袋診療所 小勝です。
この質問は、日々多くの患者様から質問をお受けする事柄ですので、この場を借りて少し解説させて頂こうかと思います。
そもそも親知らずは、別名「第三大臼歯」と呼ばれ、れっきとした奥歯の一本であり、下のレントゲン写真の様に、正常に歯が並んでいてかつ正しくお手入れが出来る場合、抜く必要はありません。
全く問題の無いケース
しかしながら、親知らずの中には、歯が横向きに生えてくる事で、歯茎や顎の骨を圧迫して痛みを与えたり、また非常に歯が磨きにくい(磨けない)状態になっているため、虫歯や歯周病を誘発したり、隣り合う健康な歯をも失うことがあるのです。
ここで、最も注目しなければならないのが、1つ手前の隣り合う健康な歯、つまり「第二大臼歯」への影響です。
第二大臼歯は、奥歯という事で物を咬む事に非常に重要な働きを持っているだけでなく、もしもこの歯が駄目になってしまった場合、治療には入れ歯という選択肢しか残されない(インプラント、コーヌスは自費診療のためここでは割愛)という状態になってしまうとても重要な歯なのです。
酷い虫歯を誘発した場合 酷い歯周病を誘発した場合
上のいずれの場合も、隣りの第二大臼歯に、致命的な問題を引き起こしてしまったケースです。場合によっては、今後、第二大臼歯は抜かなければならないかもしれません。
その他、継続的な痛みを誘発したり、咬み合せを狂わせたりと、こういった横向きに生えた親知らずは、実は残しておいても、あまりいいことが無いというのが実際なのです。
但し、抜くにもそれなりにリスクがあります。
また我々歯科医師が一生懸命苦労をして歯を抜いても、抜く時に「痛かった・・・」「腫れた・・・」等の嫌な症状ばかりが目立ってしまう事が多く、あまり患者様にいいイメージが残らない(どころか、痛い事をする歯医者というマイナスイメージが残るだけの場合も・・・)ため、積極的に説明したり、抜こうとする歯科医師自体が少数派であるという事実があります。
このように、横に生えた親知らずの多くは、数年後かあるいは数十年後に手前の歯に問題を起こします。
あくまで、「親知らずを抜くのは将来入れ歯にならないため」と割り切って、抜くという選択肢をとる方が、いい場合が多いように思えます。
もちろん抜くのは、上記のリスクとを考慮し、本当に抜いた方がいいのか慎重に判断されなければならないので、気になる方は是非ご相談を。。。
昔、歯医者さんで「今は大丈夫ですよ」と言われた患者様も、「現在」は大丈夫ではないかもしれません。