研修医制度について
研修医制度の基本理念
弘進会宮田歯科三田診療所は臨床研修医施設として厚生労働省より認可を受けています。
近年、我が国の歯科大学・歯学部卒業生の臨床における力量不足が極めて顕著であり、その原因は卒業前の臨床実習にあると多方面から指摘を受けていました。
以前は臨床指導教員のもとで、学生自身が歯科医療行為を行う臨床参加型の臨床実習が歯科大学・歯学部で実施されていましたが、歯科医療を取り巻く様々な社会的な要因(医療に携わる者としてのモラル、医療行為によるトラブル(インシイデント)、医療過誤など)から、次第に指導教員の診療補助や見学を主とする見学型の臨床実習形態にならざるを得ない臨床実習になりました。
さらに、一部ではその主体をシュミレーション実習へと転換している所もあるといわれています。
すなわち、見学のみで患者様の診療実習を全く行った経験のない、また歯科治療の技術のみならず、患者様との医療面接の技能・態度が身に付いていない、インフォームドコンセントの何たるかを経験したことのない多くの学生が歯科大学・歯学部を卒業することになりました。
あらゆる分野で国際的な通用性・共通性と国際競争力の強化が叫ばれる今日、我が国の臨床実習終了に必要な最小限症例を見ると、欧米は勿論、一部の東南アジア諸国よりも明らかに少なく、我が国の歯学教育の国際的通用性に懸念を抱く関係者も多くなりました。
このような状況で、我が国の歯学教育、とりわけ臨床実習の在り方が問われ、その、抜本的な見直しを迫られたと聞いております。
国民が歯学教育に何を求め、期待しているかという基本に立ち返ったとき、医療人としての経験の第一歩となる臨床実習の果たす役割は非常に大きいことを改めて歯学教育に携わる教員者たちが強く認識することになりました。
医科のほうではすでに研修医制度が開始され10年だそうです。首都圏、大病院に研修医が集中してしまう等の問題点は指摘されてはいましたが、ある程度国民の認知度は高くなってきた感じはします。
ある雑誌にこんな記事がのっていました。
『入院した際、担当医医師や病院院長よりも担当研修医の方がいつもベッドに足を運んで具合を診にきてくれたり、又、何でも話せる相手になっていたり、ある意味、担当医師や院長よりも、私には大変嬉しい存在でした。』と。
研修医にしてはこれ以上のほめ言葉は無いでしょう。
歯科もようやく、平成18年4月より歯科医師研修制度が必修化されました。《患者様中心の全人的医療を理解したうえで、歯科医師としての人格をかん養し(養い育てていくこと)、総合的な診療能力(態度・技能・知識)を身に付け、臨床研修を生涯研修の第一歩とすることができるものであることを基本理念とする》とうたってあります。
しかし、歯科の研修歯科制度が始まってまだ4年目で、その存在はまだまだ国民に認知されていません。
以下同様、研修先が首都圏集中・歯科医院の乱立・歯科医師飽和状態・不景気などもあり、患者様数激変の中、研修期間1年で臨床実習最小限症例数(特に定められていない)に達することができるのでしょうか。
研修生自体も研修歯科医師制度が開始された4年前より一層、臨床に対する知識が豊富とは言えなくなってきたと感じています。
臨床参加型の臨床実習を目指しているのであれば、歯科大学・歯学部のカリキュラムの到達目標に問題は無いのでしょうか。(1年では多過ぎ)
毎年8月は研修医同様我々も緊張します。患者様には、研修医を育てる協力をお願いしても難しいときもありますが、将来、歯科界を背負っていく歯科医師のため、何の問題も無く患者様が喜んで研修医のために協力して頂けるよう我々も努力いたします。
また医科同様、歯科の研修医の存在を一日でも早く国民の皆様に認知して頂くよう歯科界全体で努力しましょう。
研修医の声
歯科医師 Y・T 歯科医師臨床研修
平成18年4月から歯科医師臨床研修制度が必修化され、もうすぐ4年目になります。 このため、歯科医師は国家試験に合格、免許を取得した後、1年以上の臨床研修を行わなければなりません。
昨年4月、僕は臨床研修医になり、今日でその1年を終えようとしています。振り返ればあっという間の一年でしたが、様々な事を学び、経験し、たくさんの人達と出会い、歯科医師としても1社会人としても、大きく成長することのできた1年でした。
その中でも、この三田診療所で研修できたことはとても良かったと思っています。4ヶ月という短い期間でしたが、多くのご指導をいただき、しっかりとした治療を身に付けることができました。
また先生方をはじめ、スタッフの皆さんに温かく迎えていただき、本当に楽しい4ヶ月でした。そして…。
今日研修医を終える僕は、宮田歯科に就職することとなり、明日から三田診療所の一員となります。まだまだ新米歯科医師ですが、研修で培った知識と経験を糧にして、歯科医師としての責任と自覚を新たに頑張っていきます。